
印刷物に出現するゴーストとは?
2025年05月29日印刷豆知識
ゴーストとは?
印刷の特性上、デザインによってはインキの濃度に影響を与えてしまい、デザイン上にはなかったはずの濃淡が発生してしまうことがあります。この印刷トラブルを「ゴースト」といいます。今回は印刷の特性と発生しやすいデザインをあわせて解説していきます。

ゴーストの例
ゴーストが起きやすいデザインとしてよく例にあげられるのは「ベタの一部分に白抜きの中マド」のデザインです。デザインでは同じ濃度のベタのはずなのに、印刷の際に白窓の周りが上下だけ濃く印刷される「スタベーションゴースト」が起きやすいです。
オフセット印刷は印刷用紙を一方行に引っ張り、ローラーで絵柄を印刷しています。白抜きの中マドのように印刷時に一部分だけインキを使わない箇所があると、インキローラーのインキ配分のバランスが崩れます。中マドで消費されなかったインキは、印刷の流れる方向に沿って中マド以外の部分で使われるため濃く印刷されてしまいます。
このように、周りとのインキ使用量の差がでると「ゴースト」が発生し、濃淡が生じます。

印刷ゴーストが出やすいデザイン例
濃く印刷されるゴースト
「ベタの一部分に白抜きの中マド」のデザイン以外でも一部が濃く印刷されてしまうゴーストがあります。
一方がインキを沢山使用するような広範囲のベタ、一方がインキをあまり使用しないような小さいベタがあるデザインは、広範囲のベタよりもインキを使用しない分、小さなベタにインキが多く使用され濃く印刷されることがあります。

薄く印刷されるゴースト
広範囲のベタの前に同色の小さなベタがあると、小さなベタにインキが使用されるため、その延長にある広範囲ベタは周りよりも薄く刷られてしまう場合があります。

残像が出るゴースト
無地のベタのはずが、デザインにない濃淡の模様や白四角の残像が薄らと現れる現象をリピートゴーストといいます。
オフセット印刷は油と水の反発作用を利用しており、画線部(印刷部分)にはインキ(油)が付いて、非画線部(印刷しない部分)には水がローラーに付きます。デザインに白抜きの絵柄があると、白抜きの非画線部に付いていた水がローラーの表面に付着し、インクが付かなくなってしまい、転移不慮で残像が現れます。

印刷会社での対策
捨てベタを作る
ゴーストの原因であるインキ配分バランスの崩れを防ぐために、仕上がり部分の外側に「捨てベタ」というものを配置して印刷する方法です。「捨てベタ」を置くことでインキ使用量のバランスが調節されて、ゴーストが目立ちにくくなります。

湿し水の量を調節する
インキの「乳化」も発生しやすくなる原因の一つです。「乳化」とは水と油が混ざる現象です。この乳化を抑えるために、インキの練り状態や「湿し水」という非印刷部に引く水の量を調節することで、ゴーストを目立ちにくくすることができます。
ゴースト発生を回避できないことも…
ゴーストが発生しやすいデザインは、見つけ次第ゴースト回避の対処をしていますが、印刷用紙のサイズによっては捨てベタを付けることができなかったり、デザインの都合で手を加えることが出来ずゴーストを回避出来ないこともあります。
まとめ
ゴーストはインキが均等に配分されるようなデザインにするとを防ぐことができます。ゴーストが心配な場合は、本機色校正で試し刷りをしてみたり、印刷会社にデザインに問題ないか確認してみるなど事前確認をしましょう!
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