
デザイナー・DTP担当者向け 代表的な印刷用紙の種類と特徴まとめ
2025年07月10日印刷豆知識
目次
印刷物のクオリティは、デザインやレイアウトだけでなく「用紙の選び方」にも大きく左右されます。
色再現性、手触り、加工のしやすさなど、用紙は印刷設計の重要なパーツ。目的や印刷方式に合った紙を選ぶことで、仕上がりの印象が格段にアップします。
この記事では、デザイナーやDTPオペレーターが押さえておきたい代表的な印刷用紙の特徴と注意点を、実務目線でわかりやすく整理しました。
コート紙(アート紙/キャストコート含む)
特徴
表面に白色顔料を塗布した、光沢のある紙。カラーが鮮やかに映え、印刷映えしやすい。
「キャストコート紙」は鏡のような超光沢仕上げが特徴。
印刷のポイント
- オフセット印刷向け。発色◎
- インキ乾燥が遅い場合があり、裏移りに注意
- PP加工やニス加工と好相性
おすすめ用途
DM、パンフレット、パッケージなど、ビジュアル重視の印刷物

マットコート紙
特徴
コート紙より光沢を抑えた、落ち着いたマット調の用紙。文字の読みやすさと品のある質感が魅力。
印刷のポイント
- インキがやや沈みやすく、濃度が出にくいことがある
- 色再現性を高めたい場合は、あらかじめ色補正を検討
- パウダー管理・ブランケット洗浄に気を配る必要あり
おすすめ用途
会社案内、冊子本文、美術・文化系のツールなど

上質紙
特徴
表面加工がされていない紙本来の風合いを活かせる用紙。筆記性が高く、温かみのある印象。
印刷のポイント
- 非塗工紙のためインキがすばやく吸収され、網点がつぶれやすい
- ベタ濃度を求めるデザインには不向きな場合あり
- 水とインキのバランス調整が重要
おすすめ用途
帳票、ナチュラルな雰囲気のパッケージ、社内資料など

再生紙(古紙パルプ含有)
特徴
古紙を原料とした環境配慮型の用紙。用紙によっては色ムラや紙粉が目立つ場合も。
印刷のポイント
- 古紙の混入率が高いほど、色味のばらつきや印刷ムラが出やすい
- ブランケットやローラーの汚れ対策が必要
- デザイン時に微妙な色の再現は避けた方が無難
おすすめ用途
CSR報告書、自治体配布物、エコ商品パンフレットなど

ファンシーペーパー・特殊紙
特徴
和紙、エンボス紙、メタリック紙など、デザイン性の高い紙。視覚・触感に訴える印象的な演出が可能。
印刷のポイント
- 紙質によりインキの乗りが大きく異なるため、必ずテスト印刷を実施
- UV印刷やシルクスクリーン印刷との併用が効果的
- 紙厚や紙粉の影響で見当ズレが起こりやすい
おすすめ用途
名刺、招待状、高級パッケージ、アート作品など




合成紙・ユポ系
特徴
合成樹脂を原料にした用紙で、耐水・耐久性に優れる。屋外や水場での使用に強い。
印刷のポイント
- 通常の油性インキでは定着せず、UVまたはシルク印刷が必須
- 静電気や紙送りトラブルに注意
- 表面が滑りやすく、断裁や加工にも工夫が必要
おすすめ用途
地図、食品ラベル、屋外掲示物など

【実務TIPS】紙厚・坪量の目安
用途 | 坪量 (四六判) |
メモ |
---|---|---|
チラシ | 90~110kg | 両面カラーなら105kg以上が安心 |
冊子本文 | 70~90kg | ページ数によって調整 |
表紙・ 台紙 |
135~220kg | コシと厚み感が重要 |
名刺・ ポスカ |
180~220kg | 箔押し・エンボスなど特殊加工にも対応 |
まとめ:デザイン設計時に「用紙」もセットで考える
用紙選びは、印刷方式・加工・コスト・納期・搬送方法まで影響する設計要素の一部です。
後工程でのトラブルを防ぎ、狙い通りの仕上がりを実現するためには、デザイン初期の段階から用紙を前提に考えることが重要です。
特に最近では、
- 環境配慮(再生紙など)
- 高級感や触感の演出(ファンシーペーパー)
- 加工との組み合わせ(PP、箔、エンボス)
など、用紙選定自体が提案の価値になるケースも増えています。
「どの紙を使うか」ではなく、「どんな印象を届けたいか」から逆算して、最適な用紙を選んでいきましょう。

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